救急医療体制について

当院の休日、夜間の救急医療体制について

公立世羅中央病院 院長 來嶋 也寸無

 平素より当院の医療事業活動につきまして、皆様のご理解とご協力を賜わり、厚く御礼申し上げます。
 さて、近年、当院の規模を鑑みて全ての患者さん・疾患に対応することが難しい現状となってきております。それは医療の専門性の細分化や高度化が急速に進んでいること、さらに厚生労働省が提唱する「医療機関の機能の集約化」と「医師の働き方改革」による医師の就労時間の制限が追い打ちをかけていることが要因となり、医師の負担軽減とは逆に医師のマンパワーの維持がますます困難となってきているからです。
 実際、我々も特に休日や夜間での救急体制が脆弱化してきていることを認識しています。当院では非常勤医師などの協力を得ながら、365日24時間体制での救急医療をかろうじて維持している状況であります。医師1名を院内に常駐させておりますが、かならずしも患者さんの訴える症状に対して適切な診察医がいるとは限りません。具体的には、お腹が痛くて来院したのに整形外科医しかいなかったり、足を挫いてきたのに内科医しかいないことがあるということです。また常勤医が1名しかいない脳神経外科や非常勤医師しかいない診療科につきましては24時間、勤務拘束することは法的に不可能であるため、休日や夜間などには拘束のない時間を設けております。従いまして診療科によっては手薄になる時間帯が発生しています。少ない医師数でこの地域の救急医療を維持していくためにはやむをえない状況であると考えています。
 休日や夜間での救急対応が悪いといったお言葉や、「専門外でもとりあえず、診て欲しい」、「公立病院ならいつでも住民のために診察するのが責務だろう」といった皆様のお声をいただいており、我々は皆様のお気持ちを十分承知致しているつもりでございます。ご自身や大切なご家族のご健康を心配されているときに、当院の対応が不快、不適切に感じることがございましたらお詫び申し上げます。 
 また、必ずしも夜間・休日の受診でなくてもよい診察や、ご家庭やお仕事の都合で夜間・休日に受診されるなど、一般的に「コンビニ受診」と言われる診察も医師の疲弊の一因になっています。医師が疲弊していく病院から自然淘汰されていくのではないかと懸念しております。医師と看護師1名ずつしかいない夜間・休日よりは、スタッフの多い通常受付時間帯に可能な限り受診していただくよう、ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 今後も皆様に対し、できる限りの対応を行なっていく所存でございますが、休日・夜間に受診を希望される際の対応策と致しましては、まずは当院へ相談のお電話をいただければ幸いです。症状などをお聞きしたうえで当院のスタッフで対応可能かどうか、お返事いたします。当院で対応可能な患者さんについては最大限対応いたしますが、症例によっては初めから大きな病院をお勧めすることが予想されます。
 今後さらに人口減少が進むこの地域を守るために、また当院が持続可能な医療体制を維持していくために、我々公立世羅中央病院は、住民の皆様が安心して暮らせるための病院づくりに全身全霊を傾けて尽力していく所存であります。引き続き、この地域に最適な救急医療体制の確保、実現に向けて取り組んでまいります。我々の励みにもなりますので、皆様からのご意見を頂戴できればと思います。
 繰り返しになりますが、今以上に住民の皆様へのご理解、ご協力のほど、今後とも何卒、よろしくお願い申し上げます。

令和5年7月吉日