医師のための診療業務指針
当院に勤務する医師は、当院の理念・基本方針、患者さんの権利、職業倫理および本業務指針に基づいて、地域の中核病院として安全で質の高い持続可能な診療を提供する。
1.診療上の方針
- 急性期病院、救急告示病院としての機能を最大限発揮した診療を提供する。
- 地域の医療機関等と綿密な連携に基づく診療を提供する。
- 複数の専門医からなるチームとして、診療を担当する。
- 新たな治療、研究を行う際には、倫理委員会の審議を経て院長の許可を得る。
- 診療録記載の手引き、公立世羅中央病院診療録記載要綱等に基づき、適切な診療録の作成及び記載をし、診療を行う。
2.チーム医療の遂行
- 診療科の部長、医員、主治医、および担当医は協力して診療にあたる。診療科、チームとしての意思決定は、医療の質の向上と安全性の確保に不可欠である。
- 医師は、コメディカル・スタッフと協力して患者に質の高い医療を提供しなければならない。医師は、コメディカル・スタッフからの診療要請に速やかに対応し、結果をコメディカル・スタッフと共有する。
3.診療方針の決定
- 主治医は、患者の診療にもっとも責任を有する医師とする。
- 主治医は、担当患者の病状を把握し、所見を診療録に記載するとともに、患者の要望に誠実に対応する。
- 主治医は、診療方針及び診療計画を患者に伝える。変更になったときもその理由と変更後の診療方針を説明する。
4.説明と同意の取得
- 医師は、患者本人に対して患者の病状、診療計画、検査結果、治療内容等を適宜説明しなければならない。小児や意識障害、知的障害、精神的問題を有する患者、あるいは説明することが診療上有害と判断される患者には、保護者(または代理人)に十分に説明して理解を得る。
- 医師は、患者に侵襲を伴う診療行為(手術、検査等)を実施するときは、病状を説明するだけでなく、当該診療が必要な理由、具体的な内容、予想される身体障害と合併症、実施しないときに予想される結果、他の手段とその利害得失、実施後の一般的経過等を説明し、同意を得なければならない。ただし、緊急事態で同意を得る時間的余裕のないときは、この限りではないが、事後に説明し同意を得る。
- 医師は、患者に重要な説明を行うとき、患者の同意が得られるならば患者が信頼する家族を同席させることが望ましい。また、医師以外のコメディカル・スタッフ同席の下で説明を行う。
- 医師は、経験の少ない診療行為を実施する際には、その旨を患者に伝え、準備情況を説明する。患者が希望するときは、経験豊かな医療機関を紹介する。
- 医師は、同意書に署名を求めるときは、患者が他医療機関の医師の意見(セカンド・オピニオン)を聞くことができること、その際には必要な資料を提供することを伝える。
- 医師は、説明直後に同意書に署名を求めることを極力避ける。患者が家族あるいは知人と十分に相談できるよう配慮する。
- 医師は、説明をする際には、患者、家族の気持ちを十分に配慮し、言葉遣い、プライバシーの保護に注意する。
5.記録
- 主治医は、入院診療計画書に担当患者の診療計画等を記載して患者に説明する。
- カンファレンス等を開催した際は、その内容、日時、場所、出席者等を記録する。
- 医師は、侵襲を伴う診療行為(手術、検査等)の施行にあたり、患者から同意を得るときは、その詳細な説明内容を診療録に記載する。
- 医師は、患者を診療したとき、所見等を速やかに診療録に記載する。患者や家族に開示することを考えて平易な日本語で記述する。
- 医師は、患者、家族に説明した際、その内容を平易な日本語で記述する。
- 患者退院後は、2週間以内に退院時サマリを作成する。
6.患者死亡時の対応
- 医師は、患者が死亡したとき、遺憾の意をもってその旨を患者家族へ伝える。
- 医師は、患者の家族に死因について可能な限り説明しなければならない。
- 医師は、診療結果を検証するため、患者の家族に病理解剖を提案することが望ましい。
- 医師は、異常死が疑われるとき、当該診療科の部長を通して速やかに医療安全管理室に報告する。病院長が異常死と判断したときは、24時間以内に所轄警察署に連絡して、死因の解明を警察に委ねる。
7.診療指針と成績の公表
- 部長は、主要疾患についてのデータベースを作成し、期間を決めて診療成績等を評価した上で、学会及び学術雑誌、ホームページ等に公表し医学の進歩に寄与するとともに、診療の質の向上に役立てなければならない。
- 部長は、当該診療科の診療の質を高く保つために扱っている主要疾患についての情報を収集し、医師やコメディカル・スタッフと共有する。
令和4年4月1日 制定
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